正しい姿勢と歩き方
脊柱の生理的弯曲
脊柱の生理的弯曲とは
脊柱の生理的弯曲とは、緩く腰椎が前弯、胸椎が後弯、頸椎が前弯している、背骨の機能を果たす本来のカタチです。背骨が正常な時は、この生理的弯曲がニュートラルポジションで、体を「丸める」「反らす」「「たわませる」動作がしやすいだけでなく、全身の筋肉も使いやすい状態です。
頭を支える脊柱
背骨の大きな役割は、重たい頭を支えることです。生理的弯曲の腰椎前弯、胸椎後弯、頸椎前弯は、頭の重さによる負荷を吸収するクッション機能を果たします。
反対に、この生理的弯曲が崩れると、頭の重さが腰や背中で部分的に負荷が集中して、問題が起こります。
衝撃を吸収する脚関節
歩く時にも、脊柱の生理的弯曲を維持できていると、脚関節が正常に働きます。脚関節が、正常に働く時は、①足→②膝→③股関節から腰の順番に、地面からの衝撃を連携して吸収します。
反対に、生理的弯曲が崩れていると、脚関節の関係性も保てなくなります。足からの衝撃が膝や腰に直接伝わることが考えられます。
悪い姿勢で起こる問題
生理的弯曲が崩れる
生理的弯曲が崩れると、骨格を不自然なカタチで使うことになります。筋肉では凝りや張りが発生して、長期間そのまま使い続けることで、慢性化して筋肉の問題に対して鈍くなります。次に来る問題は、脊柱管狭窄や圧迫骨折など、筋肉の問題から骨や神経の問題へと深刻になると考えられます。
こんな姿勢になっていませんか?
1、頭が前に出た姿勢
首が前に出て負荷がかかる場所
①ストレートネック②巻き肩③猫背のように、頭が前に出た姿勢では、首や背中の筋肉に張りや凝りが起こります。同時に、背骨は生理的弯曲が崩れて、部分的に圧迫された状態で頭を支えています。
足首から前傾した姿勢
④⑤のように、地面から前傾した姿勢は、一見すると姿勢が悪いと気付きにくいです。頭が前に出ている印象も薄いかもしれません。それでも、体自体が前傾することで、腰椎の前弯、胸椎の後弯といった生理的弯曲の背骨のバランスを作れなくなります。そのために、頭の負荷が腰にかかります。
2、骨盤の前傾後傾がある姿勢
正常な骨盤と背骨の関係
正常な骨盤は、立位をとった時に、仙骨から繋がって、腰椎の前弯と胸椎の後弯が作りやすい状態です。
大腰筋などのインナーマッスルだけでなく、脚の筋肉全てが、使いやすい骨盤の状態です。
骨盤前傾(反り腰)
骨盤前傾(反り腰)は、骨盤が前に倒れた状態です。骨盤の前傾に合わせて、腰椎が前にせり出しやすく、腹筋や殿筋が働きにくくなります。歩く時に、踵が直線的に着地するようになり、脚関節や腰に衝撃が伝わりやすい姿勢です。
骨盤後傾①
骨盤後傾は、骨盤が後ろに傾いた状態です。骨盤の後傾に合わせて、腰椎が後弯するので、腰や足に力が伝わりづらくなります。脚を屈曲させないと歩けなくなるので、力を浪費しやすい姿勢です。
骨盤後傾②
骨盤後傾ですが、一見すると骨盤前傾の姿勢に見えます。仙骨から、腰椎が倒れるように前に出た後、後側に曲げて反らした状態です。腰椎の負荷が2分されるために腰痛を感じにくい姿勢で、腰椎を支える大腰筋、腹筋や殿筋の刺激が入りにくい姿勢です。
3、骨盤の傾き捻じれがある姿勢
骨盤の傾き
骨盤の左右で高さが違って、傾いている時は、上半身の重みが片側の股関節にかかることになります。時間経過で、脚の長さの非対称が進みやすい姿勢です。反対側の筋肉は、傾いた腰は常に引っ張られた状態で支えることになります。長期間放置することで、圧迫を受ける側の股関節では、骨や神経の問題へと進むことが考えられます。
骨盤の捻れ
骨盤が捻じれている時は、進行方向に対して、踏み出しながら運動を制御して使う脚と、それに付いていって運ぶ脚の役割ができてしまいます。骨盤の捻れに合わせて、インナーマッスルや脚の筋肉全体を捻じれて使う姿勢です。
姿勢が決める脚関節の負担
1、股関節を圧迫する姿勢
上半身がかぶさる姿勢
上半身が股関節に覆いかぶさる姿勢は、股関節に頭を含めた上半身の重みがのってきます。歩く時には、脚が直線的に着地して、地面からの衝撃も股関節に伝わりやすい姿勢です。
股関節が不安定な姿勢
骨盤と大腿骨の位置関係が不安定で、足で踏ん張る力が入りにくい姿勢です。股関節がズレやすく、踏ん張るなど力が伝わりにくい姿勢です。
股関節の一部で、部分的な圧迫が考えられます。
重心が偏る姿勢
体の重心が偏ることで、骨盤が傾き股関節でも負荷が片側にかかります。脚長差も生まれやすく、傾きが進行しやすくなる姿勢です。
2、膝関節に負担をかける姿勢
膝を上半身が押しつぶす姿勢
上半身が覆いかぶさる姿勢は、膝関節を潰すように体重がのってきます。歩幅が小さく、脚全体の筋肉が動きにくい姿勢で、膝関節が、圧迫を受けます。
膝から体重逃げる姿勢
膝に体重がのらず、逃げてしまうため踏ん張りにくい姿勢です。太腿とふくらはぎの連携力が少なく、膝関節が傾いてかみ合わない姿勢です。
片側の膝で支える姿勢
体の重心が偏ることで、体重が片脚にかかります。左右の脚で、歩幅が違い、脚長差も生まれやすいため、片側の膝が圧迫を受け続ける姿勢です。
3、足裏に負荷のかかる姿勢
足に全身がのしかかる姿勢
歩幅が小さく、足裏の筋肉の動きが悪くなります。全身の体重がのしかかり、足に厚みがあるのに動きのない筋肉になる姿勢です。
指の付け根で支える姿勢
体重が足指の付け根に集中します。足先の横幅が広がり外反母趾になりやすく、蹴りだしに足指を使わないので、足指が退化する姿勢です。
足の圧を分散できない姿勢
体重が偏り、脚長差なども生まれやすいので、片側の足が全体重の負荷を受け続ける姿勢です。
悪い姿勢の骨格と筋肉
姿勢が決める筋肉の流れ
姿勢を悪化させる筋肉の流れ
上記では、姿勢の悪化が特徴的にかなり進んだ状態を例に挙げさせていただきました。姿勢の問題は、張りや凝りの体のサインを、客観的に捉えて改善することが必要です。放置して、骨格の使い方の癖が付いてしまうと、筋肉がその癖を強めるようになっていきます。
問題を感じない時期
悪い姿勢では、筋肉や骨に必ずどこかに、負荷がかかっています。慢性化して、筋肉が鈍感になっている時こそ、未病のための取り組みとして、姿勢矯正トレーニングを始めましょう!
姿勢の悪化を止めるために
Xバランストレーニング
骨盤の歪みと脚長差を改善
これまで、姿勢矯正トレーニングを指導してきて、改善が難しかった骨盤の歪みと脚長差改善のために、新しくXバランストレーニングを始めました。
Xバランストレーニングとは
Xバランストレーニングとは、上半身と下半身の全身でとらえ、筋膜でつながった筋肉で引き合う力を、より対称に近付けることを目標としています。今まで行っていた、”あるくんボード”のトレーニングから、バージョンアップしてXバランスを整える指導を始めました。
Xバランスは姿勢矯正の鍵
当教室では、側弯症の生徒さんがほとんどです。側弯症は、医療では手術でしか治せないとされています。
しかし、運動で姿勢矯正することがトレーナーの切望することで、教室を始めた理由でもあります。
骨盤の捻れや歪み、脚長差が理由で、側弯症トレーニングが難航する時に、Ⅹバランストレーニングは体幹深部での歪み矯正と基礎強化が可能になります。
Xバランストレーニングの効果